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エネルギーを使う便利な暮らしと世界のつながり

  『エネルギーを使う便利な暮らしと世界のつながりについて』

私たちの便利な暮らしを支える電気やガスは、ほぼ100%、海外の資源を輸入することでまかなわれています。石油や石炭、天然ガスの資源が豊富にある国では、資源の奪い合いから紛争が起き、人びとの命や暮らしがおびやかされる事件が後を絶ちません。今回は、私たちが使うエネルギー資源と、世界の人びととのつながりを考えます。


◎日本にやってくるエネルギー資源


日本は石油、石炭、天然ガスなどのエネルギー資源を海外に求め、中東をはじめ、インドネシア、マレーシア、オーストラリア、ロシアなどから調達してきました。電力会社やガス会社、商社、製鉄会社などは、これらの国々で資源の採掘、精製に投資し、日本へ供給するルートを確保してきました。電気やガスのもとになる天然ガスは、石油に比べて世界各地に豊富にあるため、安定的に供給できる石油代替エネルギーとして注目されてきました。明治初期には新潟県、千葉県、秋田県、北海道でも天然ガスが採掘され、生活燃料として利用されてきましたが、96%は海外からの輸入に頼っています。


◎たくさんのエネルギーを使う私たちの暮らし


世界の人びとは毎日、どのくらいのエネルギーを使って暮らしているのでしょうか?アフリカでは、1人あたり100kW/hに満たない電力で暮らしている人びともいます。世界の5人に1人は電気を使えず(14億人)、薪や炭、動物の糞などを利用して調理したり、暖を取っています。換気のできない室内で燃やすため、毎年、145万人以上が屋内の空気感染が原因で早期に亡くなっています。これはマラリアや結核で亡くなる人よりもずっと多くなっています。一方、日本では、1人あたり8,000kW/hの電力を消費しています。


  『資源はあれど、電気が不足するインドネシア』

天然ガスの輸入先の一つであるインドネシアは、アジアの中で最も資源が豊かな国です。
18,000の島々に2億3,800万人、27の民族が暮らす多民族国家でもあります。しかし電化率は54%程度で、電気の来ない村では発電機を使って暮らし、都市部では日常的に停電が発生しています。採掘した資源の多くを日本などへ輸出してしまうため、国内で使える資源が不足し、電力不足となっているのです。
また、資源の奪い合いから多くの人が殺害される紛争が起きたり、開発で環境が破壊され、人びとの暮らしの基盤が奪われたりしています。私たちが便利な暮らしをしている一方で、インドネシアの人びとには一体どんなことが起きているのでしょうか?


◎発見された天然ガスと日本の進出


1971年、スマトラ島西北端にあるアチェ州で天然ガス田が発見され、アメリカの企業が採掘し、現地企業(インドネシア国営石油公社と民間会社の共同運営)が精製を行う開発が始まりました。1973年に石油ショックに直面し、中東への原油依存から脱却を図りたいと代替エネルギーを探していた日本にとって、アチェの天然ガス獲得は重要な意味を持っていました。当時、日本では公害問題が深刻化していたこともあって、クリーンなエネルギーと考えられている天然ガスは魅力的でした


◎おびやかされる村びとの暮らし


アチェLNG開発は、インドネシア政府にとって最大の収入源の一つとなりましたが、地元の村々で暮らしていた人びとにはさまざまな問題をもたらしました。雇用機会が生まれると言われていましたが、実際は、従業員の多くはアチェ以外の地域から送られてきました。工場建設のための土地収用の問題は、35年経った現在も解決せず、数百世帯が約束された再定住地を求めて座り込みを行っています。LNG精製で使われる冷却水によって海水温度が上昇し、魚が獲れなくなったり、工場からの排水が水田や養殖池に流れ込み、皮膚病や下痢になる子どもたちもいました。アチェの人びとは、社会の隅に追いやられ、貧しいままだったのです。このことが、1970年代半ばに、インドネシアからの分離独立を求める「自由アチェ運動」を生み出す原因となりました。それに対しインドネシア政府は、外国資本を守る名目でアチェに軍を派遣し、軍事作戦を展開します。日本の円借款で建設されたLNG精製工場にも軍が駐屯し、自由アチェ運動のメンバー、支持者と疑われた村人を拷問し、殺害しました。また、工場は軍に莫大な警備料も払っていました。この工場による人権侵害への荷担については、アチェ人の被害者がアメリカの裁判所に訴えています。2005年、アチェで17万人以上の死者、行方不明者を出したスマトラ沖地震・津波を受けて、紛争は終結しました。しかし30年間におよぶ紛争で、約25,000人が殺害されたとされています。日本の国益のためのLNG開発は、アチェ紛争を生み出し、人権侵害にもつながっていたのです。


◎地域で暮らす村びとが開発に関われない


開発の予定地となっている村の人びとは、土地を収用するプロセスが不透明だ、と訴えています。土地収用を拒む人びとは治安部隊に脅迫されたり、土地の測量に不正があったり、収用に合意しても不当に低い補償金しか与えられなかったりと、さまざまな問題が起きています。村びとたちは必ずしも開発に反対しているわけではありません。しかし、魚を獲って暮らしていた人が内陸に移住させられる、収穫時期を迎えた農園を手放して他の地域に移住させられ、また一から農園をつくらなければならないなど、その地域で暮らす村びとが被害を受けるにもかかわらず、開発のプロセスにはまったく関われないというしくみが開発なのです。


◎貧しくても「豊か」に暮らしていきたい


インドネシアでは、天然ガスに加えて、1991年から原発建設計画が持ち上がり、日本のコンサルタント会社が建設予定地の調査を行っています。最近では、日本の原子力関連施設へインドネシアの国会議員が視察に訪れました。日本政府は、福島第一原発事故後も、「海外からの期待があれば原発を輸出する」と表明しています。原発建設の予定地となっているジャワ島のムリア半島に暮らす人びとの多くは、原発建設に反対しています。ゴムやココヤシ農園で低賃金の日雇い労働者が多い村の女性たちは、「きれいな空気も森にも恵まれているから、たとえ経済的に貧しくても「豊か」に暮らしていける、それを子どもや孫の代に残していくために原発はいらない」と声をそろえて訴えています。日本のエネルギー資源を確保するための開発は、その地域に暮らす人びとの命や暮らしに配慮しながら、細かい調査をして進めていくことが重要です。日本のエネルギー安全保障のためだとして、人権や環境に対する配慮がなければ、地元社会に多くのマイナスの影響を及ぼしてしまいます。インドネシア民主化支援ネットワークは、現在、新たに開発が進められている地域で暮らす人びとが、第2のアチェとならないよう、現地に足を運んで村びとたちに日本で得られる情報を伝えています。また同時に、日本政府・企業をはじめ、エネルギーの恩恵を受けている日本の人たちに村びとの声を伝えています。

WE21ジャパンニュース No.60 (pdf 5.0MB ) より

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